クローゼットが閉まらない

体力の衰えに負けてOLになった元エステティシャンが思ったことを徒然と書きます。

エステにはいろんなお客さんがくるぞという話

エステ時代の話。

圧倒的に疲れてたり、美容意識の高い人が多く来店するエステだけど、なかには本当にインパクトの強いお客様もいたから、ちょっと紹介したい。

 

■いつも美しい奥様を連れて来店されていた旦那様。とても仲良しで、いつも二人でマッサージを受けていた。

でもある日、旦那様が一人で予約。しかもいつもはその場で次の予約を取るのに、それは電話で別の日に。そこでも珍しいなとは思っていた。

普通は男性一人の予約ってあまり受けなかったりするんだけど、お得意様なのでまったく問題なく当日を迎え。

「こんにちは」

「こんにち…は~」

一瞬どもってしまったわたしはプロ意識が足りなかったよね。

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そこにはスカートをはいて、ウィッグをかぶって、きれいにお化粧をしていた旦那様がいた。

お、おきれいですね!

指摘していいの?いいの?それは普通に話題にしてもいいところなの?

って瞬間的に頭がぐるぐるしたけど、結局何も言わないことにした。

もしかしたら女性にするように、グロス良い色ですねとかすてきなバッグですねとか、言っても良かったのかもしれない。

いつもの紙のズボンを出した。

「あ、女性用の方ありますか?」

「あっ、そうですよね!すぐにお持ちします!」

 

そうですよねって何だよ。自分の切り替えしがヘタすぎてへこむ。あとわたしから聞くべきだった気が利かないバカバカ!と思いながら速攻女性用の紙ショーツを出した。

その後はいつもと変わらずコースを受けて、きれいに整えてお帰りになり。あの様子だとその後にどこかに遊びに行ったようだった。

次の予約は奥様と一緒。特にいつもとかわりなく。夫婦仲はめっちゃ良いんだよね。

でも時々、旦那様は1人でいらっしゃるようになった。もちろん女性の格好で。早々に慣れた。

 

どういうプレイだったのか、旦那様のひそかな趣味だったのか、未だにわたしは分からないままだ。良い人だったので全然問題ないんだけど、インパクトは強かった。

 

 

■某デパートの美容フロアにいたころ、わたしをずっと指名してくれてたお客様がいた。

その人はめっちゃきれいな若い女性で、たぶん40歳くらい年上のもはやおじいちゃんと言っても差し支えない旦那様を連れていた。そのおじいちゃんとはいつも手を繋いでいでいたしラブラブだった。ちなみにそのおじいちゃんは割と意思疎通ができないレベルでおじいちゃんだった。耳が…遠いのかな…?

さらにいつも両手に抱えきれないほどのブランドの袋を抱えていた。本当に毎回ブランド袋を抱えていた。

すごい。なんというか濃いぃ。

聞いたところによるとどうやらいいところに広大な土地を持っていて(おじいちゃんが)働く必要がないらしい。お金が有り余っていてものすんごく暇らしい。本当に暇らしい。朝起きて今日は何をしようか悩むんだと笑いながら毎日うちに来てくれていた。しかも4時間くらいの超ロングコースを受ける。毎日毎日毎日毎日ッ…。

正直やりすぎ…!

わたし「さすがに毎日ずっと続けるとお体に負担になってしまうと思うので、3日に1回くらいにされませんか?」

お客さん「え~、でもやることないんだもん!大丈夫だよ~明日もやる」

そ、そう言わずに。 え~なんで? 逆にお体に良くないと思います。 大丈夫だって!

を何回か繰り返し、来店回数を減らしてもらったのはこの時が最初で最後。

ジムとかどうですか?とか、旅行とか…と別のことを勧めたのも初めてだった。

旅行勧めたけど、だいたい行きたいところには行きつくしたんだって。あとは宇宙くらいしか残ってないって。

う、宇宙…かぁ…(遠い目)

わたしはエジプトとかインドが気になりますけどねアーユルヴェーダとか、と軽く言うと、急に何週間か間があいて、次の来店時に「行ってきたよ!」。

行動力と資金すごすぎるね?

「インド臭いし汚いよ!」とボロカスに言われる。

わたしの気になる気をつぶしていくスタイル。

もう本当にやることを募集してて、わたしが今気になってることとかやりたいこととか、行きたい国とか、めっちゃ聞かれてだいたい先を越された。

 

いいんや。わたしはゆっくり目標をクリアしていくから、いいんや…。

 

後にも先にも、こんなお金の使い方するんや…とじゃっかん引いてしまったのはこの時だけ。働かなくてもお金が有り余ってるって、決して幸せなこととは限らないんだね…って初めて思った。

最終的に、わたしが辞めるちょっと前に、そろそろ地震が怖いし海外に移住するわ~と仰って来店が無くなったんだけど、最後までぶっとんでた。

 

 

 

 ■某芸能人の方々。

わたしは疎い方なので、顔では確信が持てないんだけど本名だったりするとさすがに分かる。でも○○さんですか?とかは言わない。あきらかに分かっても言わないように教育されていたし。

でも褒めるところには困らないくらいきれいだった。

普段のお客様に話すような何気ない会話をするんだけど、「カツラかぶったりもするから首も重いし蒸れてつらい」とか、「色々覚えるのに頭もかなり使うんだよね」とか、「立ちっぱなしのことも多いよ~舞台とか特に」とか、 「必要だから鍛えてる」とか、改めて聞くとものすごく大変な仕事ですよね…。いや疲れるよ。

色んな職業の人を見てきたけど、そのどれもを演じることがあるんだもんね。それってすさまじいことだ。たぶん仕事じゃない時もやることとか勉強することはたくさんあるんだろう。

 

実際に触れたお身体も、かなりカチコチで疲れがたまってた。

 

もしかしたらわたしのような店の従業員にも無理して愛想よくしてくれているのかもしれないと思って、途中から静かにしてみたり。寝てもらえるように心をこめた。

あんまり現実的にとらえたことのない世界だったけど、実際あの世界でずっと頑張っている人は本当に頑張って、いろいろアンテナ張って、努力してるんだな~(語彙力が欲しい)って気が付く出来事だった。

 

何度かその筋の?人を担当したけど、みんな気さくでいい人ばかり。あちらから話しかけてきてくれたりも普通にするし、そういう意味では普通のお客様と何も変わらなかった。そういう人が残っていける世界だといいなと切実に思う。

 

でもさすがにどなたもスタイルは抜群で、頭もめっちゃめっちゃ小さかった。テレビで見るより細い!!というのは本当だった。

そんな人たちが努力してんだから、凡人との差は開く一方ですわね…。

 

 

 

今回は特に思い出深いところを書いたけど、個室だし外から見えないから、本当にいろんなお客様が来るエステはめっちゃ面白いよ。

しかもボディケアだと裸になったりする分、余計に心も開いてくれやすくなるんだと思うけど、普段の悩みとか人間関係とか仕事の話とか、めっちゃ色々話してくれるから。

それ聞いてるだけで人生経験豊かになる気がしますw

 

割と大変な仕事っていうのは変わりないけど、悩んでる人はぜひやってみてほしいな。